全国有料老人ホーム協会の「シルバー川柳」からの作品です。
第18回目となります「シルバー川柳」に、今回は7,872作品の応募をいただきました。

「第18回シルバー川柳」入選作品 2018.09.07
下記の20作品を入選作として選出しました。敬称略・順不同 ★の作者名はペンネーム
1~10作品
■デイサービス「お迎えです」はやめてくれ |
相野正(男性・大阪府・68歳・無職) |
■ベンツから乗り換えたのは車椅子 |
井堀雅子(女性・奈良県・65歳・無職) |
■百年も生きりゃ貯金に先立たれ |
川野誠(男性・大分県・46歳・病院職員) |
■朝起きて調子いいから医者に行く |
小坂安雄(男性・埼玉県・77歳・無職) |
■仲いいねいいえ夫は杖代わり |
佐々木美知子(女性・埼玉県・67歳・無職) |
■「インスタバエ」新種の蝿かと孫に問い |
石井丈夫(男性・滋賀県・83歳・無職) |
■うまかった何を食べたか忘れたが |
アリス(女性・三重県・52歳・福祉施設職員)★ |
■Siriだけは何度聞いても怒らない |
小栗洋介(男性・東京都・32歳・社会福祉士) |
■靴下を立って履くのはE難度 |
近藤真里子(女性・東京都・56歳・パート) |
■「ご主人は?」「お盆に帰る」と詐欺に言い |
川野竹子(女性・群馬県・73歳・主婦) |

11~20作品
■「もう止めた」検査ばかりで病気増え |
かつ子(女性・山形県・85歳・無職)★ |
■お揃いの茶碗にされる俺と猫 |
角森玲子(女性・島根県・50歳・自営業) |
■納得をするまで計る血圧計 |
ハルル(女性・東京都・69歳・主婦)★ |
■家事ヘルパー来られる前に掃除する |
Verveine(女性・熊本県・82歳・無職)★ |
■歩幅減り歩数が増えた万歩計 |
中川曙美(女性・新潟県・77歳・無職) |
■私だけ伴侶がいると妻嘆く |
長谷川明美(女性・東京都・58歳・主婦) |
■古希を過ぎ鏡の中に母を見る |
佐々木綾子(女性・大阪府・76歳・主婦) |
■無宗教今は全てが神頼み |
見辺千春(男性・東京都・72歳・会社員) |
■君たちもどう生きるかと子に聞かれ |
和沙楽(女性・長野県・52歳・会社員)★ |
■懐メロが新し過ぎて歌えない |
宮内宏高(男性・千葉県・65歳・無職) |
題材の傾向と内容

◇流行語と社会に敏感なシルバー世代
今回は、デジタルにまつわる言葉や流行語を詠み込んだ句が目立ちました。「スマホ」「携帯」といったデジタル機器についてだけでなく、「ライン」「既読」「インスタ映え」「自撮り」など、SNSとコミュニケーションをめぐる流行語が登場しています。
また、前回に引き続き、ニュースでも話題になった「忖度」、そして「人工知能(AI)」といった言葉も登場し、社会の動向を敏感に捉えるシルバー世代の姿が浮かび上がってきます。
入選作:『「インスタバエ」新種の蝿かと孫に問い』「Siriだけは何度聞いても怒らない」
◇題材ランキング一位は男性「年齢」や女性「長寿・高齢社会」。
今回は、年を重ねること、それに伴う肉体・容姿の衰え、病についての句が最も多く目立ちました。
老化に関する悩み、不安を自虐的に詠んだ内容はシルバー川柳の一番の特徴です。「認知症」「もの忘れ」といった定番のキーワードに加え、「米寿」「卒寿」「白寿」といった長生きを表す言葉も多く読みこまれ、高齢社会を示しています。
又、加齢に伴う容姿の衰えとして、白髪や皺を題材にしながらも、それをユーモアたっぷりに捉えて前向きに生きるシルバー世代の姿が見えてきます。
入選作:「古希を過ぎ鏡の中に母を見る」「うまかった何を食べたか忘れたが」『「もう止めた」検査ばかりで病気増え』
◇家族の絆と微妙な関係
シルバー川柳の特徴として、家族との関係を詠む句が多いことが挙げられます。
長年連れ添った夫婦のほのぼのとした日常や、子や孫との絆を情感たっぷりに詠み込む句が多く見られました。また、入選作にもいくつかみられるように、妻の夫に対する「愛の鞭」もユーモアたっぷりに詠み込まれていました。
入選作:『「ご主人は?」「お盆に帰る」と詐欺に言い』「仲いいねいいえ夫は杖代わり」「お揃いの茶碗にされる俺と猫」

今回も楽しい作品が選ばれました!