冬は、芯まで冷えた体をお風呂で温めてリラックスしたくなる季節。でも、そんな心地よい浴室にも思わぬ落とし穴が潜んでいるのをご存じでしょうか? それは、冬場になると急増する「ヒートショック(急激な温度変化による血圧の変動)」です。ヒートショックを防ぐには、日々の生活でどのようなことに気をつければよいのでしょうか?
ヒートショックが起こる原因とは?
寒い環境では、体の熱が奪われるのを防ぐために、血管が縮んで血管内の圧力、つまり血圧が上がります。一方、暖かい環境では、血管が広がることで血圧が下がります。このように、環境の変化に対応できるよう、血管は縮んだり広がったりしているのです。
ヒートショックは、環境温度の急激な変化にともない、血圧が大きく変動することによって起こる健康被害です。血管に負担がかかるだけでなく、失神や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクも高まります。特に、屋内の暖かい部屋から、脱衣所や浴室などの寒い空間に移動するときなどは要注意です。

ヒートショックのリスクを抑えるには?
【1】脱衣所や浴室を暖める

ヒートショックのリスクを抑えるには、住宅内での温度差を小さくする必要があります。室温が低くなりがちな脱衣所や浴室、トイレなどを暖めましょう。
脱衣所やトイレを暖めるには、人に反応して自動で電源がオン・オフになる“人感センサー付き”のセラミックファンヒーター※など小型の暖房器具が便利です。
入浴前の一工夫として、脱衣所で服を脱ぐ前にシャワーで高い位置から熱めの温水を出し、その蒸気で浴室を暖めてみてはいかがでしょうか。
また、浴槽のふたを開けておけば、蒸気で浴室を暖めることもできます。脱衣所に暖房器具を置くスペースがない場合は、浴室のドアを開けておくと蒸気の熱で脱衣所も暖めることが可能です。
【2】浴室にスノコやマットを敷く
冬は浴室の床が冷たいため、足から体が冷えて血管が縮み、血圧が上がる可能性があります。スノコやマットを敷いて、床に足が直接触れないようにしましょう。ただし、スノコやマットそのものが冷たくなっていることもあるので、温水シャワーで温めてから浴室に入ることが大切です。その際、足を滑らせて転倒しないようにお気をつけください。
【3】熱過ぎるお湯につからない

熱過ぎるお湯につかると、温度変化によって血圧が大きく変動します。かけ湯をした上で、40℃程度(目安)のぬるめのお湯にゆっくりと入れば、体を少しずつ温めることができるので、血管にかかる負担を和らげることができます。
ただし、ぬるめのお湯でも、長湯は禁物。血圧が大きく下がり、湯船から立ち上がるときに失神してしまう恐れがあります。お風呂につかる時間は、10分以内を目安にしましょう。
【4】入浴前後の行動を見直す
食後や飲酒時は血圧が一時的に下がるため、寒い脱衣所や浴室での血圧上昇の幅が大きくなります。食後1時間以内にお風呂に入ったり、入浴前にお酒を飲んだりするのは控えましょう。また、入浴の前と後にコップ1杯程度の水を飲むこともお忘れなく。発汗による体内の水分不足を防ぐとともに、血液がドロドロになって脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクを抑えられます。
冬場に気をつけたいヒートショックですが、特に1月はヒートショックが起こりやすい時期として知られています。普段、入浴によって血圧が大きく上下していることは気づきにくく、ヒートショックもある日突然起こる場合がほとんどのようです。ご家族と同居されている場合は、入浴前に家族に一声かけたり、少しでも異変を感じたら呼びかけたりすることで、ヒートショックと思われる症状に早めに対処できるでしょう。まだまだ寒い日が続きますので、日頃から十分に気をつけてお過ごしください。
「ウエルネスライフ マガジン」より